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休日駅めぐりの旅 東浅川仮停車場跡

 以前からこのブログで取り上げる機会をうかがっていました新宿御苑、東浅川駅の写真をご紹介します。どちらも仮停車場です。2つの停車場は昭和2年2月、大正天皇大喪の礼の際に開設されました。先日、東浅川駅跡を訪ねてみました。

 大喪列車(霊柩列車)は昭和2年2月8日午前0時15分新宿御苑仮駅発、東浅川仮駅1時35分着で運転されました。実際には7分遅れで新宿御苑駅を出発したとのことです。詳細というほどではありませんが、『旅』別冊「鉄道ファン大全」(小社刊)に記事を掲載しています。
 新宿御苑仮駅は、2日間の「営業」でした。仮駅とはいえ、写真のような立派な建物で、この建物はのちに東浅川駅隣の高尾駅駅舎になっているそうです。縁のある2つの仮駅の駅舎が隣同士になったのですが、東浅川駅は放火によって消失し、現在はありません。
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▲新宿御苑駅に停車中の試運転列車(上左)千駄ヶ谷駅ホームから(上右)新宿御苑仮停車場(下左)現在の高尾駅駅舎(下右)
 千駄ヶ谷のホームから見ても、90年前の痕跡は見つけられませんでした。真冬の深夜、3列車に分かれて秩父宮はじめ国家の中枢を乗せた列車は東浅川仮駅に向かいました。極寒の中警備にあたった軍人が何人も卒倒したといいます。
 東浅川仮駅付近は高尾に向かって上り勾配です。仮ホームは新宿側から向かって右に分岐して、平らな部分に作られているのが、写真(左)でわかります。
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 この東浅川仮駅跡は高尾駅から徒歩20分ぐらいの場所です。広い銀杏並木の道を歩きました。中央線電車の窓から見ると公園のように見えましたが、実際には八王子市の施設になっています。新宿御苑仮駅はたった2日間で使命を終えましたが、こちらの東浅川駅は多摩御陵に詣でる人々のため、昭和35年まで駅として営業していました。
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 こちらもここが駅だったことをしめす痕跡は発見できませんでした。左の写真は八王子寄りから見たホームです。写真の左側に勾配標が建植されているのが見えますね。右は351系が走り抜けていく写真ですが、右に勾配標が見えます。残念ながらこの勾配標に気がついたのは、帰宅後この写真を見ている時でした。もしかすると同じ「16‰」を示しているかもしれません。
 事前の調査が甘いとこういうことになります。大正天皇とともに昭和天皇も多摩御陵に葬られましが、大喪列車は運転されませんでした。
 当時の写真は『大正天皇大喪記録』(鉄道省)掲載の写真を使用しました。

編集部 田中比呂之(ひろし)

2014年09月24日   関東 / 駅めぐりの旅

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