鉄道を専門としない一般誌のグラビアに鉄道の写真が掲載されるのは、さして珍しいことではありません。ただここ十年ぐらいでしょうか、その頻度が高くなっているような気もします。まさか「鉄道写真を載せておけば鉄道ファンがすぐに食いつく」とグラビア担当者が思い込んでいる訳でもないでしょうが、正直、「?」と思う企画もままあります。
小社発行の「週刊新潮」のグラビアにも、思い出したように鉄道写真が掲載されます。現在は「鉄路望景」というタイトルで、季節に合った鉄道写真が選ばれています。自社の媒体なので、かなり言いにくいのですが、他の一般紙グラビア鉄道写真とは一線を画しています。写真から撮影者の意志というか「こだわり」が滲み出ていて、風景が脳裏に焼き付けられるような写真ばかりです。
風景の中に鉄道がほんの少し写っている写真。もともとは車両が意図的にはずさていました。車両を入れて撮影するようになっても、ローカル路線のせいぜい2両編成の気動車です。しかも車両は自然の中に完全に溶け込んでいます。この写真を見ると日本にはまだまだ美しい自然が残っていて、鉄道の車窓からもその自然を堪能できることがわかります。
この写真を撮り続けているのは、小社写真部の田中和義です。鉄道写真家ではありませんが、子供の頃から趣味で鉄道写真を撮っている「撮り鉄」です。ですから仕事に趣味を少しばかり反映しているということですね。
昨日、東京銀座のキヤノンギャラリーで田中の写真展が始まりました。「週刊新潮」のグラビアを飾ってきた珠玉の作品の一部が、大きく引き延ばされて展示されています。当たり前ですが、大きくなったことでグラビアでは気づかなかった細かい点などに気づくこともありました。
銀座方面にお出かけの際は、是非キヤノンギャラリーにお越しください。(キヤノンギャラリーは日曜日はお休みです!)。銀座の他、名古屋、大阪でも写真展を予定しております。場所、期間などはこちらをご覧ください。
▲お気に入りの場所には何度もでかける
また田中和義の写真に、今尾恵介さんが地形解説をつけてくださった『日本鉄道美景』は展覧会場でも発売しております。
★写真展の詳細はこちら(キヤノンギャラリー内のページへリンク)
編集部 田中比呂之(ひろし)