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大雪を予見した記事もある「東洋経済」の鉄道特集

20140220_01.jpeg「東洋経済」の鉄道特集は、すっかり定着した感があります。経済誌が鉄道にアプローチをすると、趣味誌とはひと味もふた味も違ったものになることを教えてくれます。小社のような文芸系の出版社では、到底まねができない記事が並んでいます。しかも「趣味の勘所」も押さえられているのです。

 発売されたばかりの「東洋経済」臨時増刊「鉄道完全解明2014」を読み始めました。私には雑誌を後ろから読む癖があります。108ページには2周続けて東日本を襲った大雪を見越した記事が掲載されています。日曜日のブログで書いた東急東横線元住吉駅での追突事故を考える上で、たいへん参考になりました。
「度重なる豪雪の事故 鉄道を雪から守るには」(筆者は永瀬和彦氏)というタイトルの記事には、こんなリードがついています。「雪は列車のブレーキ力を七変化させる。雪の観測網も不十分だ」。ブレーキの話の前に、雪の観測網が不十分ということが気になりました。
 本文にはこんなことが書かれています。「ところが残念なことに、雪害についてはひもとくべき昔の気象統計は存在しない」。積雪量を自動観測できる機器が実用化されたのは1980年代になってからだそうです。鉄道の雪害を語るにあたって気象統計を調査されているのですね。かなり意表を突かれました。
 記事中にとてもわかりやすい表があります。「雪によるブレーキ力低下で発生した主な事故」という表で、5つの事例が紹介されています。あまり紹介してしまうと営業妨害になるかもしれませんので、先日の東横線の事故に似た2つを紹介します。

□1983年2月17日。京浜東北線大宮駅で、駅に入った電車がATCによる停止信号を受けたが、雪で所定の減速ができずに車止めに衝突。
□1986年3月23日。西武新宿線田無駅で着雪のため降下したパンタブラフの除雪中に、後続列車が時速約20kmで衝突。204名が負傷。

 この2例はいずれも約30年前の事例ですが、東横線の事故ととてもよく似ています。田無の事故を契機として「耐雪ブレーキ」が広く導入されるようになったそうです。ではその「耐雪ブレーキ」を装備すれば万全かというと......記事の要旨を全部書いてしまっては申し訳ないので、ご興味がある方は「東洋経済」臨時増刊号をご覧ください。

 2月18日(火)より「指定席」を連結しました。是非座り心地をお試しください。

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東急東横線元住吉駅追突事故(2月16日)

編集部 田中比呂之(ひろし)

2014年02月20日   本の話

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