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作り手が楽しんでいる本は読んでも楽しい

 今年3月に『図説 街場の鉄道遺産』という本の紹介をさせていただきました。「東京23区編」と「東京近郊・神奈川編」の2冊でした。先日その続編として「京都・大阪編」と「首都圏近郊編」が刊行されました。続編が出るということは、前の本が売れたという証拠ですね。おめでとうございます。

20140724_01.png 作り手が楽しんでいる本は読んでも楽しいものです。
 さっそく「京都・大阪編」を覗いてみました。カバーの袖に「鉄道遺産を追い続ける写真家の執念」という文字が躍っていますが、本当ですか、岡倉さん。そのあと「その場所を選んだ基準は『鉄道模型』にして美しいか、否か」ともあります。松本さん、岡倉さんともに鉄道模型の第一人者です、この本に出ている鉄橋や駅舎などはフルスクラッチ朝飯前でしょう。
 ということで、今日は執筆者松本さん、撮影者岡倉さんに模型を造って欲しい鉄道遺産を、本書の中からいくつか選んでみましょう。
 まず叡山電鉄八瀬比叡山口駅は『百駅停車』でも取り上げているドーム型屋根の駅舎として有名ですね。この駅には何度か乗り降りしているにもかかわらず、この美しさにまったく気づきませんでした。何年か前、『鉄道模型趣味』にこの駅舎の模型が掲載されたことがありました。一瞬、実物の写真かと勘違いするほど精巧にできていました。
 近江鉄道の鳥居本駅も素敵なデザインです。東海道新幹線の車窓からも見えます。この駅は工作派の人たち、とくに上級者の心をくすぐることはないかもしれません。それよりも同じ近江鉄道の新八日市駅はいかがでしょうか。私がこの駅を訪れたときは夕暮れ時で、夕陽に板張りの駅舎が美しく輝いていました。こんな駅舎が自宅のジオラマにあったらいいのにと思います。
 最後に橋です。大阪環状線の岩崎運河橋梁はその奇観から、おそらく多くの工作派の人々が挑戦しているのではないかと思います。それよりも関西本線の第四大和川橋梁の不思議な構造には、びっくりしました。本書で初めてこの橋の存在を知りました。
 言葉では説明しきれない不思議な構造です。トラスでプレートガーターを支えている、と説明しても何のことがわかりません。ジオラマよりは単体の作品として飾ってみたいですね。それよりもこの橋を見に行きたくなりました。関西へ行く機会があったら、なんとかこの橋を見に行く時間を捻出したいと思います。
 岡倉様、これはあくまでも本の紹介ですので、模型を注文しているわけではありません。岡倉さんの精巧な模型を買い取るほどの財力は私にはありません、念のため。奥様の悲鳴がこちらにも聞こえてきそうですから。
 奥付のページには説明のない写真が掲載されていますが、これは一体どこでしょう。

編集部 田中比呂之(ひろし)  

2014年07月24日   本の話

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